ポンコツ山田.com

漫画の話です。

食と身体と精神と

最近カロリーゼロの食品が流行っていると、WBSで言っていた。

甘味はあるけど体内で吸収されない、砂糖の代わりの甘味料を使ったコーラ(coca-cola zeroですね)、小麦粉の代わりに小麦ふすま(米でいう糠の部分。普通は捨てるところ)を使い、糖質を極力カットしたパンを使ったハンバーガー、卵黄と油を使わず、でんぷんとマリーゴールドの色素で「らしさ」を出したマヨネーズ風味の調味料etc…

ロハスデトックスだと健康志向が謳われる昨今だけど、カロリーオフ、糖質オフ、脂質オフがここまで幅を利かせているとは思わなかった。

あえて言おう。
カロリーオフの商品は不味い。

特に砂糖の代わりにカロリーオフの甘味料を添加した食品群。これでもかってくらい美味くない。「人工的」を苦心して表現しましたって味だ。牛乳の低脂肪乳、無脂肪乳も、あんなものを飲んでまでカルシウムを摂りたいとは思わない。
食ってないから断言はすべきではないが、小麦ふすまのパンも食べたくないなぁ。米で言えば糠を炊いて食ってるようなものだぞ?味の想像がつかない。インタビューで男性が「素材の味がわかって、日本食のようでいい」などと言っていたが、味を楽しみたいなら普通に小麦のパンを食えって。ダイエットのためならそれでいいから、無理してそういうことは言って欲しくない。いや、もしかしたら美味しいのかもしれないけれど。それでも照り焼きバーガーが860円て高いよなぁ。

まあ味については個人の好みだからどうこう言うのは品のないことかもしれないが、ダイエットのために栄養を制限するってのは、身体のためにはむしろ良くないだろう。
糖分、脂質、ビタミン、ミネラル、その他人間の身体に必要な栄養素は、普通に生活していれば、自分の身体のほうから「あれがほしいこれがほしい」と要求してくるものだ。それを自分の体型を維持するために、無理矢理脳の方でその要求を遮断すれば、最終的に身体自身が不満を訴えだしてくる。それが症状としてでてくるものが、単純なだるさであったり、活発に働いてくれない頭だったり、睡眠不足だったりするわけだ。

逆に、レトルト食品ばっかり食べたり、甘いものばっかり食べたり、あるいは単純に食べ過ぎたりするのは、身体の要求ではなく、脳の欲求によるものだ。身体は、そんなにカロリーの高すぎるものばっかり食べたくないよ、塩分ばっかり摂りたくないよ、糖質たまりすぎだよ、もう消化機能は限界だよと、危険サインを出しているはずなのに、脳味噌が一時的な特定の食物の摂取、あるいは過剰摂取に快楽を見出してしまうので、そのサインを無視してしまう。こうしてメタボの出来上がりだ。

普通に生活していて、唐突に甘いものをがっつり食べたいと思ったり、ご飯を腹いっぱい食べたいと思ったりすることもあろうが、それは身体からの正常な訴えだと思う。
夕食の献立を考えながらスーパーを周っていると、不意にサンマの前で足を止めたり、レバーのパックに手を伸ばしてしまうことがある。それは身体がその食品をほしがっている証拠なのだ。
女性が男性に比べ寿命が長いのは、自分で献立を選ぶ機会が多いからだと言う説もあるが、それは今まで述べてきた理由によるものなのだ。自分の食べたいものを食べたい時に作ることで、健康状態、ひいては寿命にそこまで優位な差が出うるらしい。

健康のため、ダイエットのため脂質、糖質を抑えた食生活をするというのはわからない話では勿論ないが、それなら運動量を増やすことで脂質、糖質の消費を増やしたほうが、よっぽど健康にはいい。その上で、健康状態を害せず、身体も不満が出ない程度に、ささやかに栄養量に気を遣うべきだろう。
不味いものを食べてまでダイエットをするというのは、個人的にはひどくいただけない。「衣食足りて礼節を知る」の言葉もあるが、極端に偏った食事というのは、人間の精神状態を容易に変えてしまう。
例えば、菜食主義のような身体にいいはずの食事をずっとしていても、それが直接人間の幸福につながるとは限らない。菜食生活を始めた人間がいたが、それを続けた結果、自分の体内、精神状態がとてもクリーンになった。確かにクリーンになったが、そうすると今度は逆に、普通の食事をしている人間がとても汚らしく思えるようになってしまった。だから、肉を食べている人間(例えそれが友人であっても、否、友人だからこそ善意の気持ちで)に対して「そんなものを食べているのは劣等な人間である証だ。肉をやめて野菜を食え」とおせっかいを焼くようになってしまった。それが人間関係を好転させるかと言えばそんなことはない。自分の食べているものを「劣等の証」などと言われては、そんなことをいうやつとは付き合いたいと思うはずがないのだ。こうして友人が離れていくようになってしまったので、その男性は自身の健康と人間関係を秤に掛け、菜食主義を捨てたのだった。これは実際にあった話である。
これは極端な事例かもしれないが、食は人間の本能に根ざしているものだけあって、精神にたやすく影響を与えるのは事実だ。

身体が欲しがっているものを適切に聞き取り、適宜適量摂取する。たまには羽目を外して暴飲暴食鯨飲馬食に走ってもいいけど、たまににしといたほうがいいですよ、と。
内田樹氏の本のタイトルから抜粋するに「私の身体は頭がいい」ということです。自分の身体を大切に。

私の身体は頭がいい (文春文庫)

私の身体は頭がいい (文春文庫)









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