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ドラム考

プレイスタイルが面白い管楽器奏者はいても、プレイスタイルが面白いドラマーはいない。これはかなり真理。
この場合の「面白い」は文字通りの意味で、「興味深い」や「interesting」の含意はなく、単純に演奏している格好がコミカルであるということだ。

学生ビッグバンドに所属し、ライブハウスにも足を運んだりして、色々なプレイヤーを見てきたけれど、妙に特徴のある吹き方をする管楽器奏者はときたま見かけた。吹く前に楽器を構えて天を仰ぐリードラッパや、ソロを取るときに直立して足をそろえたままぴょこぴょこ動くボントロ、吹いていると段々右肩が上がっていくリードアルト、細かく八分でカウントをとっているバリトンなど、管楽器奏者はわりと吹き方に癖がある。しかし、癖があろうとあるまいと、上手い人は上手い。あろうとあるまいと、下手な人は下手。癖の有無は楽器の技術とほぼ無関係と言っていいだろう。

だが、これがドラムになると話は違ってくる。
学バンのイベントを見に行くと、まだ技術的にそれほどではないドラマーがときたま見かけられる。そして、そのドラマーのフォームはほぼ100%珍妙なものになっている。妙に肩を跳ねさせながらドラムを叩いていたり、頭が変な方を向いていたり、身体が変に傾いていたり。見てて失笑を禁じえないようなフォームなのだ。
見ててコミカルなドラマーに上手い人間は見当たらない。

これはなぜかと愚見を述べさせてもらえば、ドラムは演奏をする際に、他の楽器と比べて際立って動かす身体部位が多いからではないだろうか。
基本的には呼吸器官と指先(ボントロは腕だが)だけしか使わない吹奏楽器と違い、ドラムは四肢全てを使って演奏しなければならない。もはや演奏というよりは運動と称しても差し支えないような動きだ。
ここで「コミカルな動き」というものを考察してみると、それは均整の取れていない動き、ある種カリカチュアライズされた動きと言える。リアクション芸人の動きを考えてみればわかるが、彼らの行動は日常的な反応(行動)を大きく逸脱している。大きく声を張り上げ、ぶんぶんと派手に手を振り回し、極端に感情を昂ぶらせている。そこにスマートさはなく、誇張されたオーバーアクションを顕在させているのだ。
これを合わせて考えると、コミカルにドラムを演奏しているプレイヤーとはすなわち、「均整の取れた動きをしていないプレイヤー」であるといえる。
スポーツ選手は自らの記録を小数点三桁の世界で向上させるために、必死になってフォームの改善を試みている。腕の振り、バタ足の角度、呼吸のタイミング。コンマ一秒のために無駄を少しでも削り落としているのだ。そこには、無駄を一切省いた機能美という名の美しさが存在している。コミカルさとは無縁の世界だ。
ゆえに、コミカルで、見てて笑いを催すようなドラマーに上手いプレイヤーはいないという推論が成り立つ。

上手いドラマーはかっこいいですよ、ホント。








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