ポンコツ山田.com

漫画やアニメ、小説などについて、思ったことを恬淡と。

漫画表現

『アリスと蔵六』フキダシによって近づいた漫画とアニメの表現あるいは時間の話

アニメ化! 大事なことなのでもう一度言います。 ア ニ メ 化 ! !アリスと蔵六 7 (リュウコミックス)作者: 今井哲也出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2016/11/11メディア: コミックこの商品を含むブログ (3件) を見るということで、2016年も終わりに…

『アリスと蔵六』から考える、枠線を超えるフキダシの効能の話

さて今日は、前回、といっても半月ほど前の話になってしまいましたが、レビューした『アリスと蔵六』から、フキダシの使い方についてちょいと考えてみたいと思います。アリスと蔵六 1 (リュウコミックス)作者: 今井哲也出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 201…

『よつばと!』から考える一コマ内の会話のルールの話

現在日本の漫画のほとんどは、フキダシ内に文字を書くことでキャラクターの発言とし、会話を表しています。そこにはいくつかのルールがありますが、その中の一つに、「一コマ内の会話は一往復以内」というものがあります。A・B二人のキャラクターがいるとし…

『よつばと!』「第四の壁」を越え読み手を見つめる(気がする)よつばの話

実に16か月ぶりの新刊で、月刊と週刊を比べるのはナンセンスだけどそれって下手すりゃ『HUNTER×HUNTER』より待たされたんじゃ、などとかすかに思いつつも、いざ読めば面白くてしょうがないわけで、もう好きになったもん負けですよね。そんな『よつばと!』。…

ヤマシタトモコに見るコマ送り技法による心理描写の話

コマ送り技法は以前の記事で、キャラクターの視点に同調させたり、読み手の時間を操作したり、あるいはシュールな笑いを生み出したりということを書きましたが、 「よつばと!」に見るコマ送り技法のニュアンスの話 - ポンコツ山田.com 「よつばと!」コマ送…

ヤマシタトモコに見る、越境・連結するフキダシによる読みやすさの話

そこかしこで聞くヤマシタトモコ先生の評判に、「文章が読みやすい」というものがあります。最初は統辞レベルでそれが何によるものなのかを考えてみようと思ったのですが、口語性の強い言い回しくらいしか思い当たることがなく、じゃあそれがどう読みやすさ…

『HUNTER×HUNTER』目のハイライトに見る、ゴンのゆるがぬ意志と他のキャラの迷いの話

待ってたぜ! ということで『HUNTER×HUNTER』の最新巻である28巻。単行本派の自分にとっては、あまりにも長い時だった。「感謝するぜ お前と出会えたこれまでの全てに!!」とかゴンさんとか、聞きたくなくても漏れ聞こえてしまうネタバレに耳を塞いできたが、…

『ぼくらのよあけ』奥行きのある空間と、子ども達の知った広い世界の話

先ごろ1巻の発売された『ぼくらのよあけ』。ちょっと先の未来、小学生達が自分たちの住んでいる団地を通じて宇宙と、そして人と繋がっていくSFジュブナイル。子ども的な近視眼さと、それの裏返しになる「楽しいこと」へとひた走る熱情を通して、自分のほんの…

漫画表現の中の、顔の見えない背中が語る内心の話

村田雄介先生の『ヘタッピマンガ研究所R』に、こんな言葉が出てきます。 一にも二にも目ですね 上辺の感情がどうあれ キャラの本心は目に反映させる様にしてます 絵で人物の内面を見せる方法は目の表現以外にない! と ここでは言い切っちゃいましょう 昔か…

「苺ましまろ」に見るコマ送り技法によるシュールな笑いの話

以前、『よつばと!』についての記事で、漫画におけるコマ送り技法について書きました。 「よつばと!」に見るコマ送り技法のニュアンスの話 そこでは、「「地」を動かさずに特定のキャラだけを大きく動かす、いわゆる「コマ送り」の方法は、子どもであるよ…

「よつばと!」63話に見る、贅沢にコマを使った濃密な時間の話

年一冊の刊行ペースに歯軋りしながらもその安定した面白さに「まあしょうがねーな」と思わざるをえない『よつばと!』。テンション高い風香がうざかわいいとか、ひどいあさぎがかわいいとか、みうらのかーちゃん若くてきれいとか色々見所のある巻ですが、まず…

「GIANT KILLING」に見る、時間を操ることで生まれる緊張/開放のカタルシスの話

漫画の中の一コマと普通の絵の違いは、台詞の有無だの、効果線だの、いわゆる漫符だのと色々ありますが、それの大元になっている前提の一つに、漫画のコマは他のコマとの連続性の中にある、というものがあります。それはつまり、漫画のコマ(絵)は「物語」…

「高杉さん家のおべんとう」に見る、服の描き方による絵の「性的」さの話

高杉さん家のおべんとう 2 (MFコミックス)作者: 柳原望出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2010/06/23メディア: コミック購入: 21人 クリック: 310回この商品を含むブログ (86件) を見る人生そろそろ崖っぷちな、三十路のオーバードクター(≒フリ…

「ハックス!」に見る、漫画空間の立体感ある奥行きの話

明日発売のアフタヌーン六月号で最終回を迎える「ハックス!」。作品の総括は来月発売のコミックスまで待つとして、今回は「ハックス!」から感じる空間の存在感、立体感についてです。ハックス!(3) (アフタヌーンKC)作者: 今井哲也出版社/メーカー: 講談社…

「ハックス!」から感じる「柔らか」な印象の話

あけましておめでとうござっす。山田っす。旧年中は弊ブログにご訪問ありがとうござっした。新年早々パねえ感じなんで、今年はこういうテンションでいこうと思ってるっす。鬼よろしくっす。 まあ嘘なんですけど、新年初更新は、昨年の山田ランキングで見事一…

「よつばと!」コマ送り技法による読み手の時間操作の話

よつばと! 9 (電撃コミックス)作者: あずまきよひこ出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2009/11/27メディア: コミック購入: 51人 クリック: 1,286回この商品を含むブログ (483件) を見る以前書いた記事で、「よつばと!」内で使われている…

パラパラ漫画とアニメの違い 〜時間の連続性を与えられた絵の話

「ハックス!」1巻の第4話で、パラパラ漫画とアニメの違いについて描かれていました。ハックス!(1) (アフタヌーンKC)作者: 今井哲也出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/11/21メディア: コミック購入: 18人 クリック: 162回この商品を含むブログ (74件) を…

なぜ漫画は内容と無関係のことが同じ頁に描かれていても平気なのか 〜凍結された漫画の時間の話

漫画にしかできないこと 11 マロン名無しさん :2006/07/27(木) 08:07:35 ID:???コマの外に落書き 改めて気づくが、これがとても興味深い。 何が興味深いって、作品が描かれている同じ一枚の紙(頁)の上で、たかだか枠線一本をひくだけで、紙の上に描かれて…

「え!?絵が下手なのに漫画家に?」漫画に必要な絵の上手さとはなんなのかという話

え!?絵が下手なのに漫画家に? (ヤングチャンピオンコミックス)作者: 施川ユウキ出版社/メーカー: 秋田書店発売日: 2009/11/20メディア: コミック購入: 6人 クリック: 160回この商品を含むブログ (40件) を見る「森のテグー」と同時発売の、施川先生の新刊で…

三点リーダしかないフキダシにはどんな意味があるのかという話

フキダシの中に擬音が入っているのは固有のニュアンスを持って聞こえているのだなどと理解できるのですが、フキダシの中に無音(…)が入っているだけというものがどうしても納得できません。 絵で補完してあるものの場合なら「(本人は)話している・話した…

木村紺のちょっと面白いフキダシの使い方の話

前回の記事で、木村紺先生の擬音使いについて触れましたが、それからちょっと派生して、木村先生のフキダシの使い方について少々。 フキダシと言えば中に文字を書いてセリフを表すものと相場が決まっていますが、それも使い方次第で色々な視覚的効果をもたら…

木村紺に見る「フキダシ+写植」の擬音の話

「からん」もいいけど早く「巨娘」も再開してくれないかなと私が願って已まない木村紺先生。いや、「からん」も面白いんですよ? そんな木村先生の作品には、ちょっとした特徴があります。 (神戸在住 5巻 p60) (からん 1巻 p141) このように、普通な…

目は口ほどにどれくらいものを言うのか、「少女ファイト」で考えてみようという話

少女ファイト(5) 特装版 (プレミアムKC イブニング)作者: 日本橋ヨヲコ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/01/23メディア: コミック購入: 6人 クリック: 78回この商品を含むブログ (43件) を見るヨヲコ先生の描く表情の豊かさについては今まで何度か触れて…

漫画の読み方はどのように体系立てて内面化されているのかという話

このエロ漫画のコマ割がすごい ほかまみつり『Chocolat』のコマ割がすごい - karimikarimi こちらの記事で触れられているコマ割の表現論について、思ったところを軽く。 私の記事内でkarimikarimiさんの画像基づいた言及が多くあるので、まずこちらの記事を…

桜井のりおとツジトモに見る、非長方形のコマから生まれる効果の話

現代の日本の漫画は、基本的に右から左、上から下に向かって読むことを前提として描かれていますが、読む方向に混乱をなるべくきたさないようにという配慮からか、あるいは単にそうした方がページ内が整頓されて読みやすいし描きやすいからか、漫画のコマは…

「みつどもえ」に見る、日本の漫画の読み方とコマ運びの兼ね合いの話

みつどもえ 7 (少年チャンピオン・コミックス)作者: 桜井のりお出版社/メーカー: 秋田書店発売日: 2009/05/08メディア: コミック購入: 6人 クリック: 37回この商品を含むブログ (55件) を見る基本的には、日本の漫画は右から左へコマを読み進めていくものだ…

「よつばと!」に見るコマ送り技法のニュアンスの話

よつばと! 8 (電撃コミックス)作者: あずまきよひこ出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス発売日: 2008/08/27メディア: コミック購入: 29人 クリック: 247回この商品を含むブログ (573件) を見る先日ふと思い立って全巻読み返してみたんですが、最新…

「とろ鉄」のキャラのかわいさと鎖骨の話

とろける鉄工所(2) (イブニングKC)作者: 野村宗弘出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/03/23メディア: コミック購入: 10人 クリック: 64回この商品を含むブログ (66件) を見る自分の知らない世界は面白い。ということで、野村先生の「とろける鉄工所」です…

鬼頭莫宏の独特な印象は、台詞とフキダシに理由があるんじゃないだろうかという話

ぼくらの 10 (IKKI COMIX)作者: 鬼頭莫宏出版社/メーカー: 小学館発売日: 2009/01/30メディア: コミック購入: 8人 クリック: 30回この商品を含むブログ (108件) を見るかなり前から疑問に思っていた、鬼頭莫宏先生の作品から感じる不可思議な印象について一…

王道なギャグ漫画として、意外な事ながら「ラブやん」について考えてみる

ラブやん(11) (アフタヌーンKC)作者: 田丸浩史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/01/23メディア: コミック購入: 3人 クリック: 37回この商品を含むブログ (74件) を見る今月買ったアフタヌーンの新刊は「百舌谷さん逆上する」と「ラブやん」。両方ともギ…