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漫画の話です。

市川春子

市川春子の短編と、反復し変奏するミニマルミュージックの話

漫画や小説に合う音楽、ということを考えるのがわりと好きです。「言葉は音楽に恋している」とは、詩人・谷川俊太郎さんの言葉ですが、無時間的なメディアである漫画や小説が、時間的な芸術である音楽に強く惹きつけられるのは必然であるように私も思います…

正常と異形と、常識と禁忌と。境界を行き来する『25時のバカンス』の話

久し振りに市川春子先生の短編集『25時のバカンス』を読み返したら色々と感じるところあって、以前アップしたレビューは未読者を想定して書いているので、そこでは触れきることのできなかったことについて、改めて書いてみようかと思います。ということで、…

異形の生命と、光と闇と、人間と 『25時のバカンス』の話

体内に新種の貝を宿してしまった深海研究の才媛にして変わり者である姉と、子供の頃の事故で目を損傷してしまった、カメラマンとして世界中を旅する年の離れた弟が久しぶりに一緒に過ごす休暇を描く『25時のバカンス』。土星の衛星パンドラにある女学園でア…

人と人ならざるものの交流から生まれる諧謔と透明な恐怖 重要な問いにアンダーラインを引く「虫と歌」の話

人間とは何か。とても難しい問いだ。 人間の形をしていれば人間なのか。じゃあ人間の形とは? 頭部と胴体があり、四肢が揃っていること? 生まれながらにしてそれに当てはまらない人もいる。でも、彼らを人間とは看做せないなどと言える人はそういないし、迂…