ポンコツ山田.com

漫画やアニメ、小説などについて、思ったことを恬淡と。

ヤマシタトモコ

いずれ滅びるこの町で、今日も私たちは生きています 『花井沢町公民館便り』の話

私たちの住む花井沢町は、とても小さな町です。そして、とある事故のせいで、生きているものが出ることも入ることもできなくなった町でもあります。町の中には住民がいますが、もちろんみんな、出ることも入ることもできません。あと200年も経てば、きっと滅…

星と隕石と引力と 『きみはスター』の話

ヤマシタトモコ先生の『運命の女の子』に収録されている『きみはスター』。タイトルにも用いられているスター=星をキーワードに,本作を読み込んでみたいと思います。運命の女の子 (アフタヌーンKC)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 講談社発売日: 201…

『きみはスター』『ひばりの朝』ヤマシタトモコの描く二つの優越感の話

先日レビューをしましたヤマシタトモコ先生の『運命の女の子』。 彼女らはそれに乗るのか、抗うのか 『運命の女の子』の話 - ポンコツ山田.com そこに収録されている『きみはスター』の中で、ちょっと気になったコマがありました。 (運命の女の子 p113) …

彼女らはそれに乗るのか、抗うのか 『運命の女の子』の話

人が生まれる時に必ず「呪い」をかけられるようになった世界。16歳になるとその呪いが発動し、人はそれを克服しなくてはいけない。ただ呪いの中身は千差万別で、軽重もある。呪いが大きければ大きいほど、それを克服した人は偉大な人物になるという。 そん…

二人の男が恋仲になるまでの、断片的な日々の記録『スニップ,スネイル&ドッグテイル』の話

真面目で人付き合いの苦手な峰。社交的で自由な雰囲気を持つ安城。まるで性格の違う二人は、いつしかお互いに惹かれ始める。そんな二人が,出会ってから恋人同士になるまでの8か月を断片的に,しかもバラバラに描いた物語・・・・・・スニップ,スネイル&ドッグテ…

食あるところに人あり 人あるところにドラマあり『くうのむところにたべるとこ』の話

くうのむところにたべるとこ (マーガレットコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2014/02/25メディア: コミックこの商品を含むブログ (15件) を見るということで、ヤマシタトモコ先生の新作『くうのむところにたべるとこ』のレビ…

男二人、気持ちイイ除霊の先には何がある 『さんかく窓の外側は夜』の話

書店員の三角(みかど)は、物心ついた時から「あれ」が見えていた。他の人が幽霊と呼ぶような存在であるところの「あれ」。そのことについては誰にも言ったことはなく、自分一人のものとずっと抱え込んでいた。けれどある日、書店にやってきた除霊師・冷川…

『さんかく窓の外側は夜』先行読書会 ~今夜は生でヤマシタトモコ~ の話

ヤマシタトモコ先生の新作『さんかく窓の外側は夜』 が2月10日に発売されることを記念して、出版元のリブレ出版が、1月31日にこんなイベントを企画しました。 男子限定! 新作コミックス先行読書会 〜今夜は生でヤマシタトモコ〜 で、応募してみたら、…

ヤマシタトモコの描く「ままならぬもの」の話

先日『仮面の告白』を数年ぶりに再読しましてね。仮面の告白 (新潮文庫)作者: 三島由紀夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/06メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 190回この商品を含むブログ (208件) を見る同性愛者の苦悶と悲哀と喜愛と絶望とが端正な筆…

『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる人々の話 ひばり編

『ひばりの朝』の感想その4です。ひばりの朝 2 (Feelコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/07/08メディア: コミックこの商品を含むブログ (24件) を見るその1〜3はこちら。 『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる人々…

『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる人々の話 学校編

『ひばりの朝』の感想その3です。ひばりの朝 2 (Feelコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/07/08メディア: コミックこの商品を含むブログ (24件) を見るその1・その2はこちら。 『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる…

『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる人々の話 成年男子編

ヤマシタトモコ先生『ひばりの朝』についての感想文その2。ひばりの朝 2 (Feelコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/07/08メディア: コミックこの商品を含むブログ (24件) を見るちなみにその1はこちら。 『ひばりの朝』ひば…

『ひばりの朝』ひばりを通して浮かび上がる人々の話 富子編

帯に「怪作」の惹句がある、ヤマシタトモコ先生『ひばりの朝』の完結巻。ひばりの朝 2 (Feelコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/07/08メディア: コミックこの商品を含むブログ (24件) を見るなにをもって怪作と呼べばいい…

服にまつわる苦悩と妄想と黒歴史と 『裸で外には出られない』の話

①住環境と仕事場の境目が無く②服装規定が一切なく③どうせ人にも会わないし疲れてるしもうええやん……となりがち、と服装堕落化三重苦に苦しむ漫画家・ヤマシタトモコ。著者の服に関する怠惰と欲望と妄想と苦悩が渦巻くのを目の当たりにすると、「ああ…女性っ…

心の暗部を焙り出される人間たちの中心には一人の少女 『ひばりの朝』の話

手島日波里は14歳。歳の割に肉感的な身体とどこか浮世めいた雰囲気のせいで、異性からは性的な目で、同性からはうっすらとした悪意の目で、しばしば見られている。彼女は何か特別なことをするわけでもない。でも、彼女の周囲の人間は、何もしない彼女を見て…

ヤマシタトモコの描く、大人の心地よい友達づきあいの話

気がついたら既刊が全部そろってるヤマシタトモコ先生の作品群。サタニック・スイート (アフタヌーンKC)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/03/23メディア: コミック購入: 4人 クリック: 26回この商品を含むブログ (25件) を見る多く…

ヤマシタトモコに見るコマ送り技法による心理描写の話

コマ送り技法は以前の記事で、キャラクターの視点に同調させたり、読み手の時間を操作したり、あるいはシュールな笑いを生み出したりということを書きましたが、 「よつばと!」に見るコマ送り技法のニュアンスの話 - ポンコツ山田.com 「よつばと!」コマ送…

ヤマシタトモコに見る、越境・連結するフキダシによる読みやすさの話

そこかしこで聞くヤマシタトモコ先生の評判に、「文章が読みやすい」というものがあります。最初は統辞レベルでそれが何によるものなのかを考えてみようと思ったのですが、口語性の強い言い回しくらいしか思い当たることがなく、じゃあそれがどう読みやすさ…

「BUTTER!!!」と「少女ファイト」から考える、「溶け合う」楽しさと「呼吸」の話

アフタヌーンで連載中、ヤマシタトモコ先生の『BUTTER!!!』は高校を舞台にしたダンス部の作品ですが、その中でこんなやりとりがあります。BUTTER!!!(2) (アフタヌーンKC)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/01/21メディア: コミック購…

楽しく踊れば一つに溶け合う!高校生ダンス漫画「BUTTER!!!」の話

BUTTER!!!(1) (アフタヌーンKC)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/07/23メディア: コミック購入: 7人 クリック: 178回この商品を含むブログ (84件) を見る高校に入学した荻野目夏は、中学校の頃から夢だったダンス部に入部した。でも…

28歳処女の不器用な「スキ」の気持ち 「Love,Hate,Love.」の話

よーしおじさんメディアの尻馬にのっちゃうぞ! ということで「このマンガがすごい!2011 オンナ編」で、見事初の同一作家でのワンツー独占を決めたヤマシタトモコ先生の作品のレビューです。ただし、受賞した『HER』、『ドントクライ、ガール』ではなく、『…